にきびと薬

ニキビ治療薬 | 皮膚科で処方される7つの塗り薬

ニキビ治療で処方される外用薬(塗り薬)

皮膚科では症状に合わせて様々な種類の塗り薬が処方されますが、この記事では7種類のステロイドフリー(非ステロイド)外用薬の効果や、使い方、副作用について詳しく解説していきます。

ステロイド外用薬をおすすめしない理由

ステロイド薬とは体内でつくられるホルモンが持つ作用を応用して薬にしたものです。外用薬(塗り薬)以外にも内服薬(飲み薬)や注射薬などがあり、様々な治療に使用されます。ステロイド外用薬は、強力な抗炎症作用で塗った部分の炎症を速やかにおさえる薬です。その強力な効果からアトピーや湿疹、皮膚炎、ニキビなど幅広い治療に用いられています。しかし副作用も大きく、塗った部分にあらわれる副作用として、肌の乾燥毛細血管の拡張による赤ら顔酒さ様皮膚炎口囲皮膚炎など別の皮膚疾患になってしまう場合があります。特にテロイドを長期で使用する治療では高い確率でなにかしらの副作用があらわれます。私、にきねこの場合このステロイド外用薬の治療でニキビの症状は一時的に緩和されたものの根本的な解決には至りませんでした。また、その副作用によって毛細血管が拡張し、赤ら顔になってしまいました。一度拡張した毛細血管は自然に元に戻ることはなく、Vビームレーザー治療などで赤みを多少緩和することはできますが、元のような肌に戻ることはとても難しいと診断されました。このようにステロイド外用薬はその副作用で別の皮膚の病気を発症するリスクの高い薬なのです。

ステロイドフリーのニキビ治療外用薬(塗り薬)

ディフェリンゲル外用薬

ディフェリンは2008年から国内で使用が始まったアダパレンが主成分のニキビ治療薬です。ディフェリンは医療保険が適用されるニキビ治療薬の中で今までにない非常に効果の高い薬です。
今まで皮膚科の保険治療で処方されていた塗り薬は抗菌薬ばかりでアクネ菌などを殺菌して炎症を抑える治療が主でした。一方ディフェリンは、ニキビの原因となる過剰な皮脂分泌や毛穴のつまりに作用し、ニキビの原因となる菌が住む毛穴そのものを正常化する効果があり、ニキビの原因を元から改善します。

ディフェリンは目に見えないほどの初期ニキビから、白ニキビや赤ニキビなど炎症をおこしたニキビ、皮脂の過剰分泌による慢性的なニキビまで幅広いニキビの症状に改善の効果があります。またディフェリンゲルにはピーリング作用があるので、毛穴の黒ずみなども同時に改善されることがあります。

デフェリンゲルの使い方

1日1回、就寝前に洗顔した後やスキンケアをした後に患部とその周囲に適量を塗布して使用します。

ディフェリンゲルの副作用

副作用の症状には個人差がありますが、治療を始めて数日程度で肌が赤くなる、乾燥する、かゆみがでる、ヒリヒリするなどの症状が現れることがあります。2週間~1ヶ月ほどで治まることが多いようです。その頃には肌の状態が改善され、ニキビができにくくなります。副作用の対処方法としては保湿ケアをしっかり行ってからディフェリンゲルを塗ると良いでしょう。副作用の症状が辛い場合はすぐ止めてしまうのではなく皮膚科の医師に相談してみましょう。ディフェリンゲルの使用で効果がない人も少数ながらいるようです。1ヶ月ほど使用しても改善の傾向が見られない場合は別の治療を検討しましょう。


ベピオゲル外用薬

ベピオゲルは2015年から国内で使用が始まった過酸化ベンゾイルが主成分のニキビ治療薬です。海外では長い実績がありメジャーな治療薬ですが、日本でも2015年から保険治療で処方することが可能になりました。ベピオゲルはニキビの原因になる細菌であるアクネ菌や黄色ブドウ球菌を殺菌する効果と、肌のターンオーバーを促して角層肥厚を改善するピーリング効果があります。また、できはじめのニキビから、白ニキビや赤ニキビなど炎症をおこしたニキビ、慢性的なニキビの症状まで幅広いニキビに有効です。

ベピオゲルの最大の強みは主成分である過酸化ベンゾイルが抗生物質ではないため、使用しているうちに殺菌効果に耐性のある耐性菌が発生する心配がなく、長期間継続して使用できることです。またベピオゲルは副作用に気をつければ他の治療薬と併用することも可能です。




ベピオゲルの使い方

1日1回、就寝前に洗顔した後や、スキンケアをした後に患部に適量を塗布して使用します。

ベピオゲルの副作用

ベピオゲルの臨床試験では、約40%の使用者になんらかの副作用が発生すると報告されています。主な副作用は、皮膚の乾燥により粉ふきや皮剥け、ヒリヒリするなどの刺激感、赤みなどです。肌が弱い人はこれらの症状が現れやすいようです。副作用の対処方法としては洗顔後に保湿ケアをしてからベピオゲルを塗ると良いでしょう。

また、ベピオゲルの重大な副作用として報告されているのが過酸化ベンゾイルに対するアレルギー反応を持つ人の場合です。この場合、顔全体や目の周囲が腫れるといった症状がでる可能性があります。そのようなときは直ちに使用を中止し、担当の皮膚科医に相談しましょう。


エピデュオゲル外用薬



エピデュオゲルは2015年から国内で使用が始まったアダパレンと過酸化ベンゾイルが主成分のニキビ治療薬
です。簡単に説明するとディフェリンゲルとペピオゲルが合わさったようなもので、ディフェリンゲルの効果に殺菌作用が加わったものです。副作用もディフェリンゲルとペピオゲルを合わせた内容になります。

エピデュオゲルの使い方

1日1回、就寝前に洗顔した後やスキンケアをした後に患部とその周囲に適量を塗布して使用します。


ダラシンTゲル外用薬

ダラシンTゲルはクリンダマイシンが主成分の抗生物質です。主な効果は抗菌作用と抗炎症作用です。ニキビの原因になるアクネ菌や黄色ブドウ球菌を殺菌する効果と、炎症の原因になるこれらの細菌によるタンパク質の合成を阻害するによってニキビを改善します。ダラシンのように抗炎症作用がある抗菌薬は少なく、皮膚科のニキビ治療では以前から非常に多く使われています。

しかし、ダラシンは抗生物質なので長く常用すると耐性菌が発生し、効果がなくなってしまう恐れがあります。
そのため長期的な使用はお勧めしません。
洗顔後、肌のケアをしたあとに炎症のある患部にピンポイントで使うのが良いでしょう。

ダラシンTゲルの使い方

1日に2回、洗顔後やスキンケアをした後に患部に適量を塗布して使用します。

※ダラシンTゲルは患部以外に塗らないようにしましょう。
余計な箇所にも塗り続けると耐性菌を生む原因になり次第に効き目が薄れてきます。


ダラシンTゲルの副作用

ダラシンTゲルの副作用はあまり無く、あっても軽度なことが多いです。報告されている副作用には、乾燥したようなツッパリ感や稀にかゆみやヒリヒリするなどの刺激感、赤くなるといった症状があります。もし副作用がみられても一時的かつ軽度なことが多いですが症状が悪化するようであれば皮膚科の医師に相談することをおすすめします。


アクアチム外用薬

アクアチムはナジフロキサンが主成分の抗生物質です。アクアチムには殺菌効果があり、ニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌を殺菌してニキビを改善します。主に炎症を起こしているニキビに効果があり、腫れ赤みを速やかに改善ます。アクアチムにはアクアチムローション、アクアチムクリーム、アクアチム軟膏の3種類がありますがそれぞれテクチャーの違いであり効果は同様です。ニキビ治療ではアクアチムクリームが処方されることが多いようです。アクアチムも長く常用すると耐性菌が発生し、効果がなくなってしまう恐れがあります。
そのため長期的な使用はお勧めしません。
洗顔後、肌のケアをしたあとに炎症のある患部にピンポイントで使うのが良いでしょう。

アクアチムの使い方

1日に2回、洗顔した後や、スキンケアをした後に患部に適量を塗布して使用します。

※アクアチムもダラシンTゲル同様に患部以外に塗らないようにしましょう。
余計な箇所にも塗り続けると耐性菌が生まれる原因になり次第に効き目が薄れてきます。



アクアチムの副作用

アクアチムの副作用はあっても軽度なことが多いです。かゆみや乾燥、ヒリヒリするなどの刺激感、ほてりや赤み、発疹等の症状が報告されています。もし副作用がみられても一時的かつ軽度なことが多いですが、これらの症状が悪化するようであれば、一度皮膚科の医師に相談することをおすすめします。


ゼビアックスローション外用薬

ゼビアックスローションは2016年から国内で使用が始まったオゼノキサシンが主成分の抗生物質です。ゼビアックスローションはダラシンTゲルやアクアチム等の抗生物質と同様に高い抗菌作用効果があります。その殺菌効果はアクアチムの数倍ありニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌を強力に殺菌してニキビを改善します。主に炎症を起こしている赤ニキビ・黄色ニキビに効果的です。

しかし、抗生物質の欠点として長く常用すると薬に耐性のある耐性菌が発生し、効果がなくなってしまう恐れがあります。
そのため長期的な使用はお勧めしません。皮膚科医と相談し可能であればダラシンTゲルやアクアチムなどの違う種類の抗生物質と切り替えながら使うことで耐性菌の発生を防ぎましょう。そうすることで従来より長く抗生物質でのニキビ治療が可能になります。


ゼビアックスローションの使い方

1日に1回、就寝前に洗顔した後や、スキンケアをした後に患部に適量を塗布してください。

ゼビアックスローションの副作用

ゼビアックスローションに特筆すべき副作用はあまりありません。あっても非常に軽度なことが多いです。乾燥したようなツッパリ感や稀にかゆみやヒリヒリするなどの刺激感を感じることがあります。


スタデルムクリーム外用薬

スタデルムクリームはイブプロフェンピコノールが主成分の外用薬です。スタデルムクリームには抗炎症作用があり、炎症の原因となるプロスタグランジンの合成を防ぎ、炎症を抑えて痛みや腫れを和らげる効果があります。またニキビ跡になりやすい炎症性のニキビやまだ赤みのあるニキビ跡に使用することで色素沈着を最小限に抑える効果があるとされています。ニキビ治療以外にも湿疹や皮膚炎、帯状疱疹の治療の際にも処方されます。

スタデルムクリームの主な効果は抗炎症作用であり、殺菌作用はありません。ニキビ治療で使われる場合は殺菌作用のあるアクアチムやゼビアックスローションと一緒に処方されることが多いです。

スタデルムクリームの使い方

1日に2回、洗顔後やスキンケアをした後に患部に適量を塗布してください。

スタデルムクリームの副作用

スタデルムクリームの副作用はあまり無く、あっても軽度なことが多いです。稀にかゆみやヒリヒリするなどの刺激感、発疹、赤くなるといった症状が出ることがあります。もし症状が悪化するようであれば、皮膚科の医師に相談することをおすすめします。

 

まとめ

上記でご紹介したニキビ治療の処方薬には市販されている薬には無い高い効果があります。ニキビの予防や改善のために日頃から洗顔やスキンケアに気を使ったり、市販のニキビや肌荒れの薬でニキビ対策をしていてもニキビを繰り返してしまったり、中々治らずに悩んでいる場合は是非一度皮膚科を受診することをおすすめします。
 

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