もくじ
インナードライ肌(乾燥性脂性肌)とは
インナードライ肌とは隠れ乾燥肌とも呼ばれ、肌の表面はオイリーで潤っているように見えて、実は内側の水分は不足して乾いている状態。のことです。肌の内側の乾燥に反して、表面は皮脂の過剰分泌によりテカったりべたついたりしているため内側の水分不足に気がつきにくい傾向にあります。肌は乾燥すると防御機能がはたらいて皮脂の分泌を増やすため、インナードライ肌は一見、脂性肌や混合肌と似ています。そのため自覚のない場合が多いのです。肌の水分と油分のバランスが崩れた状態であるインナードライ肌の原因は角質層のバリア機能の低下や、ターンオーバーの乱れと言われています。角質層は、皮膚の一番外側にあり、水分を保つ働きと、外部からの刺激や雑菌が侵入しないようにするバリアのはたらきがあります。そのため、乾燥が進行しバリア機能が低下した肌はトラブルの絶えない状態になってしまいます。また、インナードライ肌は顔全体が乾燥するケースばかりでなく、口元やUゾーンはかさつくのにTゾーンはてかったり、肌のベタつきとツッパリを同時に感じるなど、部分的にインナードライの症状が現れる混合肌のような状態になる場合もあります。
角質層の働きが弱まる原因
角質層のバリア機能が弱まる原因は、加齢による水分と油分のバランスの変化であったり、天然保湿因子(NMF)やセラミドなどの肌の中で作り出される保湿成分の減少、加えて偏った食生活や飲酒、喫煙、睡眠不足などの生活習慣やストレス、自律神経の乱れなどがあります。また、洗顔のしすぎや間違ったスキンケア、エアコンなどによる空気の乾燥、紫外線など外部からの様々な肌ダメージも絡んでいます。これらによって角質層のはたらきが弱まり、肌の保湿機能が低下することから、肌の水分不足と皮脂の過剰分泌が合わさったインナードライ肌になってしまうのです。
インナードライ肌の見分け方
脂性肌(オイリー肌)なのにツッパリなどを感じる場合や、洗顔後の皮脂が出てくるまでの間、肌が乾燥している感じがしたり、皮膚の表面が粉を吹いたように見える場合もインナードライ肌の可能性が高いと言えます。まずは、自分がインナードライ肌なのかしっかりチェックしてみましょう。
インナードライによる肌トラブル
軽度のトラブルとしては肌にツッパリを感じる、透明感やハリがなくなりごわつく、毛穴の開きが目立ち黒ずみで肌が汚くなる、シミが増えるなどがあげられます。さらに進行すると、皮脂の過剰分泌と角質の肥厚により毛穴が詰まりやすくなり大人ニキビ、吹き出物ができるなどの症状が現れます。また、角質の肥厚により皮脂の排出に問題が起きると鼻などでは角栓が大きくなったり、いちご鼻なってしまうこともあります。インナードライ肌が深刻化すると角質層のバリア機能が著しく低下し、重度のターンオーバーの乱れにより、延々と不健康な肌が作られる負のサイクルに陥ってしまうケースもあるので早急に対処するようにしましょう。長いこと重症ニキビに悩まされている方の中にはインナードライ肌の人が意外に多いようです。
インナードライ肌を改善する方法
インナードライ肌の具体的な対処方法をスキンケアと生活習慣の2つに分けて解説します。
インナードライ肌を改善するスキンケア
インナードライ肌を改善するスキンケアは基本的には乾燥肌や敏感肌の対策と同様です。正しい洗顔と保湿を中心としたスキンケアを行い、紫外線対策も忘れずに行いましょう。
洗顔
インナードライ肌はバリア機能が正常にはたらかず、保湿力も低下している状態です。皮脂の落としすぎは乾燥の原因になります。界面活性剤が入っているような強力に皮脂を取り除く洗顔料の使用は避けてください。インナードライ肌の洗顔では、肌に刺激の少ない洗顔料や赤ちゃんにも使える無添加石鹸などがおすすめです。よく泡立て、1分ほど肌に直接触れないくらいの気持ちで優しく洗います。また、30°前後のぬるま湯を使うと皮脂の落としすぎを抑えることができます。洗顔の回数は朝と夜の1日2回で、朝はできれば肌の負担が少ない水洗顔をおすすめします。
化粧水と乳液
インナードライの改善には、洗顔後の保湿がとても大切になります。洗顔後は水分を肌に留める役割のある皮脂がないので、水分がどんどん蒸発していきます。一度肌の水分量が下がってしまうと元に戻るまでとても時間がかかります。洗顔後3分以内に保湿化粧品でしっかり保湿し、肌に潤いを与えましょう。このときに使用する化粧水は、アルコールフリーの保水力のあるものを選び、水分を肌の中に閉じ込めるために乳液や保湿クリームでふたをします。さらに保湿力を高めるため、乳液の前にセラミドやヒアルロン酸などのより保湿力の高い成分を配合した美容液をプラスするのも効果的です。
皮脂量を押さえるビタミンC誘導体
インナードライによる肌のテカりやべたつきが気になる場合はビタミンC誘導体を配合した化粧品がオススメです。ビタミンC誘導体に保湿効果はありませんが、抗酸化作用やコラーゲンの生成を促進します。また、美肌効果に加え、皮脂の分泌を適量にコントロールするはたらきがあります。ビタミンC誘導体には、浸透性が早い水溶性と浸透は遅いが肌の奥までしっかりと行き渡り、効率よく吸収される油溶性があり、水溶性のものは化粧水や美容液に配合され、油溶性のものは保湿クリームに配合されます。
あぶらとり紙の使用は控える
テカリやべたつきが気になっても安易にあぶらとり紙を使ってはいけません。なぜなら、皮脂を拭きとることで肌内部の水分が蒸発し、ますます肌が乾燥して皮脂の分泌をより促進してしまう可能性があるからです。どうしても拭きたいときはティッシュで軽く抑えることで対処しましょう。また、その回数もできるだけ控えた方が良いでしょう。
オイリー肌との勘違いに要注意
スキンケアで注意しなけらばならないのがインナードライ肌をオイリー肌と勘違いしてしまうことです。インナードライ肌は一見オイリー肌に似ているため、肌のテカリが気になってオイリー肌と勘違いしてしまうことが非常に多いです。実はインナードライ肌なのに脂性肌用の洗浄力の強いクレンジング剤や、スキンケア商品を使用してしまうと肌内部の乾燥をより進行してしまうことになり、症状が悪化してしまう恐れがあります。まずは、自分の肌が脂性肌なのかインナードライ肌なのかをしっかり見極めましょう。
生活習慣の改善
栄養バランスの整った食生活を心がける
栄養バランスの整った食生活は健康な肌を育むための基礎になります。中でもインナードライ改善に特に効果があるのがビタミンAとビタミンB群です。ビタミンAは肌の健康維持にとても重要なビタミンです。皮膚や粘膜の上皮細胞の新陳代謝を促進し、ターンオーバーをスムーズにするはたらきがあります。乾燥の改善やニキビにも効果的です。緑黄色野菜や卵、レバーなどに多く含まれています。ビタミンAは脂溶性ビタミンなので油と一緒によることでより効率的に吸収できます。次に、ビタミンB群は肌をつくる材料になる、炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質の代謝をスムーズにし、正常なターンオーバーをサポートします。細胞の再生を促して健康な皮膚や粘膜を育みます。不足した場合は肌荒れやニキビの原因になります。ビタミンB群は精神安定とストレスにも効果的です。肉類や雑穀・豆類に豊富に含まれています。また、ビタミンB群の中で皮膚の健康にもっとも重要なビタミンがビタミンB2です。細胞の再生や粘膜を丈夫にして、皮脂をコントロールし、乾燥や肌荒れを改善します。牛乳や納豆、青魚等に多く含まれています。ビタミンB群は水溶性で熱に弱いビタミンなので、体に蓄積されにくいため、毎日こまめに摂取するように心がけましょう。より効果を実感できるビタミン剤やサプリメントを活用するのも良いでしょう。


良質な睡眠をとる
日本人の理想的な睡眠時間は平均して7~8時間と言われています。この睡眠が十分でないと肌だけでなく、身体や精神に不調をきたす原因になります。また、睡眠中にはさまざまなホルモンが分泌されています。中でも肌のターンオーバーを促す成長ホルモンが主に分泌されるのは入眠後から約3時間と言われています。この3時間しっかり熟睡することでターンオーバーを促進し、ストレスの解消にもつながります。寝る前は目や神経に負担をかけるテレビやスマホは避け、リラックスした状態を心がけましょう。リラックスすることで副交感神経優位になりより良質な睡眠につながります。
こまめな水分補給
水分補給は体の内側から肌に潤いを与え、保湿を行うことができます。簡単にできる乾燥肌対策として注目されており、インナードライ肌改善にも効果が期待できます。血液中の栄養を行き渡らせる効果や老廃物の排出を促すことで肌が潤います。しかし、冷えた水を一度に飲むと体の冷えやむくみの元となり逆効果になることもあるので、常温に近い水をこまめに飲むのが良いでしょう。
紫外線対策を行う
紫外線対策もインナードライ肌の改善には必須です。紫外線は肌にダメージを与え、肌の潤いが奪われてしまい、乾燥を促進してしまいます。そうなると肌の防御機能がはたらいて、皮脂の分泌が過剰になりインナードライ肌の悪化の原因になります。インナードライ肌の改善、予防には、夏だけでなく、年中通して日焼け止めを塗るなどの紫外線対策を忘れないようにしましょう。
エアコンによる空気乾燥に気をつける
冷暖房に関わらずエアコン(空調)が効いた空間では湿度が下がり空気が乾燥してしまいます。エアコンのよく効いた場所に長時間いると肌の乾燥を招き、インナードライ肌を悪化させる原因になってします。加湿器を使ったり観葉植物を置くなどして部屋の湿度管理に気をつけましょう。